（仮題）「レッドバロン」　スヌーピーを読んでいて思いついた

大戦終結から七年後の1925年11月、マンフレート・フォン・リヒトフォーヘン男爵の
遺体が返還されることとなりベルリンでの国葬が決定された。その前日、新人女優のレ
ニはベルリン行きの汽車で乗り合わせた軍人に話しかけられる…
（配役）
〇リヒトフォーヘン（まかぜ）赤く塗った戦闘機に乗り、敵から赤い男爵と恐れられた
空の英雄。部下の統率にも優れ率いる部隊はリヒトフォーヘン・サーカスと呼ばれた。
〇レニ（潤花）ベルリンで人気のダンサーだったが膝を故障して映画女優に転身した。
〇ボーデンシャッツ（きき）リヒトフォーヘンの副官だった。レニに話しかける。　
〇ドナースマルク伯爵令嬢マーラ（潤花・二役）戦死したリヒトフォーヘンが所持して
いたロケットの写真の女性。ボーデンシャッツによればレニにうりふたつだという。
〇ゲーリング（ずん）戦死したリヒトフォーヘンの後任の部隊長。
〇ベルケ（もえこ）リヒトフォーヘンの元の上官。1916年戦死。
〇ウーデット（こってい）リヒトフォーヘン・サーカスの隊員。
〇ロタール（なにーろ）同上。リヒトフォーヘンの弟。1922年事故死。
〇クルト（あのん）同上。迷彩の概念がない時代でみな派手な色の機体で戦っていた。

堰をきったようにリヒトフォーヘンの思い出をレニに話し続けたボーデンシャッツは
先に汽車を降りたが、降り際レニに一冊の本を託す。お棺に入れようと思ったけど、
あなたに持っていてもらいたいと言って。大切に油紙につつまれた本はハイネだった
が、開くと手紙が出てきた。

マーラ　さようなら　僕は君が好きだった。しかし　そのとき　すでに　君は婚約
の人であった。私は苦しんだ。そして君の幸福を考えたとき、愛の言葉を囁くこと
を断念した。しかし　わたしは　いまも　きみを　深く愛している　愛している

翌日探し当てたマーラの家で大戦末期結核で亡くなっていたことを知る。レニが外に
出るとリヒトフォーヘンの葬列が近づいたのか、ドイツ国歌の大合唱が聞こえてきた。
レニは目をつぶり、リヒトフォーヘンとマーラがダンスする情景を思い浮かべる。

マーラ以外は実在の人物で有名な人もいる。手紙は特攻隊の遺書を一部変えてみた。